桃太郎伝説は、讃岐一円を勢力下としたモモソヒメ一族の瀬戸内海制覇の経過を標す物語とも考えられる。播磨灘に向かって瀬戸内海を西から東へ航行すると、女木島が備讃瀬戸を南北に断ち塞いでいる。古代における瀬戸内海の制海権を考える上で、女木島は淡路島、小豆島とともに重要な島である。桃太郎伝説は、女木島などを制覇し、経済的利権を得て政治的にも実力を蓄えたモモソヒメが、大和へ進出する条件を整えた状況証拠を伝える物語とも考えられる。大変重要な意味をもつ伝説ではないだろうか。
おとぎ話は子供たちに夢を与える民族の宝物。親から子へと語り継がれるおとぎ話は、子供たちの情操を育む世界共通の知恵。おとぎ話を忘れ物にしてはならない。−平成16年3月− |