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福岡 |
博多祇園山笠−福岡市− |
博多の祇園山笠は、博多の総社櫛田神社(写真左)の夏祭り。その起源は、博多・承天寺の開山・聖一国師が悪疫流行の折、施餓鬼棚に乗って甘露水をまいたことに由来する。イキで情に厚い博多っ子。無償の奉仕を喜びとして、その始まりもわからないほど大昔から、締め込みに山かき縄を腰にして、水はっぴにねじり鉢巻姿で博多の町を闊歩すると、観光客といわずとも誰もが尊敬のまなざしになるものであるらしい。飾り山の前で記念撮影を求める者、スケッチをする者などで祭り期間中、博多の町は熱気に包まれる。
祭りの華は最終日の追山笠。7月15日、櫛田宮の周辺は未明から祭りの見物客で立錐の余地もなく大変な混雑振りである。神社前の路上では締め込み姿で弓張提灯を掲げた流(ながれ)の氏子が路上で走り込み、追い山の舁(か)きだしを待つ。路上に水を打ち、舁き手に勢い水が浴びせられると、舁きだしの緊張感は最高潮に達する。紅白のねじねじの鉢巻をした3人の台上がりが山笠に乗込む。午前4時59分、ドーンという太鼓の合図とともに櫛田神社近くの路上に設けられた山止めから一番山笠・千代流が舁(か)き出された。路上を疾走し櫛田宮の楼門を少し過ぎたところで境内に入り、博多祝い歌を奉納。七流が5分間隔で次々と入場し、約5キロのコースに舁き出されていく。番外は、上川端の山笠。豪華絢爛で実に華やかなものである。
博多祇園山笠の祭りは、7月1日の当番流の筥崎(はこざき)浜の汐井(真砂)取りに始まり、各流で飾り山の公開が行われる。10日の流引き、12日の追山ならし、13日の集団山みせなど毎日どこかで何かの行事が行われ、徐々に追山の緊張した雰囲気がつくられる。
飾り山は追山とは別の山。七流の各町内やJR博多駅、博多座の近くなどに10基余が展示され、こちらの方も連日、見物人で賑わう。山はその前後(表裏)に戦記、伝説などの場面がジオラマで表現される。博多人形師の手によるもので豪華で華麗である。祭り見物が叶わない人には、櫛田神社に飾り山が常設展示されているので、こちらの方をご覧になるとよい。
それにしても、博多のような大都会の真ん中でこのような大規模な祭りが古色を失わず、子々孫々に受け継がれてきたこと自体に驚きを感じる。私たちは、大きなことほど言い易く、地域や家庭をまとめることいかに難しいことかよく知っている。博多の伝統と人々の心意気が困難を克服しながら祭りを通じて見事に花開き、幾百年も変わらない住民自治の町・博多をつくりあげている。−平成17年7月− |
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