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福岡 |
婿押し(春日神社)−春日市春日− |
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春日神社 |
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婿押し |
1月14日、春日神社の境内で今年もまた婿押しの儀式が古式ゆかしく行なわれ、一組の新婚夫婦が地区の人々に暖かく迎え入れられた。
午後7時過ぎに神社の鳥居前に据えられたサギッチョ(左義長)に火が入れられた。酷寒の夜空が赤々と染まり、熱く厳かに婿押しの儀式が二時間余り続いた。 婿押しの儀式は、古くから春日に伝わる伝統行事。正月送りの左義長と婿押しが結びつき、春日神社の境内などで行なわれる。新婚夫婦のお披露目という意味合いがある。
まつりの大方の流れは、最初にお茶の儀式からはじまり、宿もみ、樽せり、拝殿もみ、空もみの手順で進行し、終いに若水が花婿にそそがれる。まことに、整然とした流れに沿ってまつり行事が進行してゆく。
まつりは、帳元(青年団支部長)によって仕切られているように見える。帳元は関西、四国地方の頭屋のようにもみえるが、大杯を飲み干す等のまつりの現場的役割もあるなど相当、体力を要する役割も負うており、やや印象が異なる面もある。
お茶の儀式は、 氏子の長老らが一堂に会した宿で行なわれ、花婿の挨拶、振袖姿の花嫁が長老や花婿、介添人(婿抱きという)に酌をして、終いに謡三番があげられる。長老らの背後に締め込み姿の青年が二人立ち、会場を固める。会場を宿と呼ぶのは、かつてお茶の儀が個人宅で行なわれていた名残であろう。現在は、神社に隣接する公民館で行なわれている。
お茶の儀が終わると、締め込み姿の少年らが宿に押しかけ、青年団と神酒樽の争奪が始まる。宿もみ呼ばれる儀式である。宿もみが終わると、神酒樽が神前に供えられ、樽せりが始まる。神官から帳元に投げられた神酒樽を奪おうとして青年らのせめぎあいは鳥居前の御池にもつれ込むのである。樽を奪い、奪った樽を踏みつけ壊す。整然と樽せりの力闘が続き、締め込み姿の男衆の肌は次第に紅潮し、身体から湯気がたつ(写真左)。砕けた樽の木片は、持ち帰り神棚に供える慣わしがある。
樽せりが終わると全員で汐井川(牛頸川)に向かい、身を清め、持ち帰った汐井を神前に供え、拝殿にかけ登り、祝い唄をうたいながらもみ合う。これを拝殿もみと称している。幼児がもまれると健康に育つといういわれがあり、次々と幼児が拝殿に上げられもまれる。都合3回、拝殿もみが行なわれる。
拝殿もみが終わると、鳥居横に設けられた若水の神棚の前に男衆が集まり、やがて祝い唄を歌いながらサギッチョの回りをまわる。これを空もみという。空もみが終わると花婿に若水をそそいでまつりは終わる。
左義長は小正月の行事。婿押しと重なるところが特異である。春日神社の婿押しは、見る者に汲めど尽きない興味を呼びおこすまつりである。
春日神社は、天智天皇が筑紫国長津宮(福岡市高宮)に滞在したとき、天児屋根命の神籬をおいた地と伝えられる。大クスが茂る境内は春日の杜。見事な森である。−平成18年1月− |
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