大津祭は例年、10月10、11日に斎行される。天孫神社(大津市四宮町)祭りである。四宮祭ともいわれるこの祭りは、長浜市八幡神社の長浜曳山祭とともに近江路の春、秋を告げる祭り。本宮の日、大津市内の所定のコースを午前9時半ころから午後5時半ころまで巡行。巡行順はくじ引きで決まるという。ただし、鍛冶屋町の西行桜狸山は不動の一番山車。大津祭の発祥にまつわる同町の塩売治兵衛の功績により、「くじとらず」と通称され、例年、山車の先頭につく。山車の車は三輪、屋根の形は切妻、入母屋、唐破風と様々でかつゴブランなどをめぐらし大変、豪華である。西行桜(慶長年間)、猩々山(寛永)など古い山車等は近江の財力を示して余りある。
大津祭の最大の呼び物は人形からくり。山車によって出し物はみな異なる。凝ったからくりもあって見飽きない。人形からくりの実演は巡行コースの民家の軒下などにその両端を赤く染めたご幣が掲げられているので参考にされるとよい。
かつて、祭は10月1日から10日まで行われた。田楽や傀儡(くぐつ)小屋等が建ち並び、見物客で賑わったという。今は2日間の祭りであるが、観客動員数は一向に衰えない。交通の至便さもこの祭りのウリにもなっているのだろう。通りは立錐の余地もないほどの盛り上がりがある。−平成21年10月11日− |