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佐賀 |
唐津くんち |
エンヤ、エンヤ、オイサ、オイサ。秋晴れの唐津の空に「おくんち」の掛け声が吸い込まれてゆく。一番曳山は「赤獅子」、二番は「青獅子」・・・。製作年代順に、14台の曳山が次々と西の浜明神台(御旅所、写真左)に曳き込まれてゆく。
曳山は、獅子、龍、兜、御座船などバラエティーに富み、随分大きなもの。高さは7メートル余、重量は2トンから5トンにもなる。江戸期から明治期までの数十年間に、こつこつとヤマの造り増しが行われた。赤獅子、青獅子、鯛、飛龍など曳山はみな漆塗りの豪華な造り。最古の赤獅子は1819年(文政2年)の製作という。
唐津くんちは、唐津神社の秋の例大祭。もともと九日(くんち)が重なる縁起の良い9月29日に行われていたが、変遷があって現在は、11月の3日をはさむ3日間。11月2日が宵山、3日は御旅所神幸、4日の町廻りでフィナーレとなる。祭り期間中、唐津の町はくんち一色に染まる。紋章を染め抜いた鉢巻をして、江戸腹にパッチ(股引)、腕貫をして、足元は黒足袋に赤緒の草履を履き、肩から斜にお守りを編み込んだリリアンを架け、伊達締めをして肉襦袢を羽織る。くんちの正装をして街中を行く唐津っ子は、どこか祇園山笠の博多っ子の雰囲気に似たところがある。町内の家々では、祭り期間中にハタなどの料理を大皿に盛り付け、訪問者をもてなすという。大変な出費が伴うようであるが、これもまたふれあいを大切にする唐津の人々の伝統であり、捕鯨、製塩などで栄えた西肥前の繁栄のよすがであろう。-平成17年11月3日- |
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