龍田大社(本宮)は風の神できこえた明神大社。天武天皇3(674)年、風神を龍田立野に祀ったと伝えられる社である。三室山、龍田川(今の大和川)に近く、河内境の山腹に在る。「・・・山おろしの 風な吹きそと うち越えて 名に負へる社(もり)に 風祭りせな」(万葉集)とうたわれ、龍田神社は風神祭を行なう大和の代表的な神社だった。
大和盆地のすべての河川は大和川に集約され、龍田神社近くの「亀の瀬」を経て河内に流下する。その流路は山塊が深くえぐられ、古来、大和の人々に風の通り道と信じられてきた。そうした民俗が風神祭として発展し、天武年間に奉祀されたのだろう。
今日は、柏原市内の大和川沿いに歩き金山彦神社に詣で、亀の瀬越え(奈良街道)で龍田大社に参詣。鳥居のそばに天保年間、大坂、西宮の江戸廻りの廻船問屋が奉献した一対のひと際大きな石燈籠が建っている。これもまた風の神に海上安全を祈願したものだろう。
平成21年10月18日、今日は、龍田大社の秋祭りの本宮祭。各地区から都合7基の太鼓台が宮入りし、神輿の渡御が行なわれた。太鼓台は唐破風の切妻屋根のもの4基といわゆる蒲団太鼓3基。7基の太鼓台が次々に入場。乗り子の色ちりめんのしごきが長く垂れ下がり美しい。チョーサ チョーサの囃子とともに太鼓台は巡行する。四国地方では蒲団太鼓の山車をチョーサと呼ふが、関西でチョーサの囃子を聴くのは少し意外であった。太鼓台の練り込みの後、拝殿前で餅まきが行なわれた。秋晴れの日、よい祭りだった−平成21年10月− |