テンポのはやい歌とハヤシに乗って、思い思いのコスチュームに身を包み、次つぎと踊りチームが繰り出していく。例年、100チームほど出場して繰りひろげられる総踊りは、8月の第2日曜日にかけて行なわれる「三原やさ祭り」の初日と2日目の行事だ。3日目は花火大会などがある。
三原やっさ踊りは、400年以上続く夏の夜の伝統行事。起源は、永禄10年(1567年)、小早川隆景が築いた三原城築城の完成を祝って、城下の人々が祝賀の意を表したことに始まるといわれる。小気味よいリズムはハイヤ節に似ている。廻船によってハイヤ節のリズムが当地に伝わり地唄や田楽、虫送りの農耕行事などと結びつきつつととのっていったものか。
4、5人から数十人にもなる連を組み、手を高くあげ、前へ前へと押し出すようにして進む連行の形や踊りの奔放さは、阿波踊りもヤッサ踊りもよく似ている。男はハッピかヤッコ姿で、尻をはしょって踊る。女は、鳥追姿で長襦袢をからげ、裾よけを楽にして足の運びを軽やかにする。道路をいっぱいに使ってジグザグに踊り進み、右手に弓張り提灯を高く掲げて踊るのが伝統的なかたちのようだ。昔は踊りの先頭に扇子を持った子供を立て踊っていたが、いまは、連の編成も踊りの形も自由。この自由さが今風で、やっさ踊りの名声をひろめることになったのだろう。小気味よいリズムにのって2日間、三原市民は踊り明かす。−平成18年8月− |