愛媛県の最南端に宇和海にひらけた愛南町がある。町の西部で高茂岬が横たわる。
近年、岬に周回道路が整備され、旅人は岬周りの浦々を容易に訪問することができるようになった。半島周りはリアス式海岸。断崖に波頭が打ち寄せる。ここはもはや内海ではないことを意識させる。
半島の南部に宿毛湾に開けた福浦という地区がある。漁業の町だ。浜からトントンと太鼓の音が聞こえる。11月3日、今日は若宮神社の秋祭り。浜の御旅所で四ツ太鼓の錬り、鹿踊り、岩谷口獅子舞(砥部町から来演)が奉納され、モチまきが行われた。
四ツ太鼓は実に大きく、瀬戸内や関西の太鼓台ほどもある。神輿も南予では大きなもの。鹿踊りは五ツ鹿。‘まわれ水車 おそくまわりて関にとまるな’鹿舞歌が浜から海へ消えてゆく。この浜には日本の懐かしい祭りの風景がある。−平成23年11月− |