大阪
天神祭の催太鼓−大阪市北区天神橋2丁目−
 大阪の夏祭りの華は渡御である。渡御の中心が凰輦であることは、大阪のどこの夏祭りにおいても変わることはない。しかし、荒れ狂う枕太鼓を目当てに見物をする人もまた多い。
 毎年、7月24、25日の両日開催される天神祭における陸渡御(昼渡御)、船渡御は大阪の夏祭りの華。夕刻から始まる船渡御の船列は、曳船講による御曳船、ドンドコ船、提灯船、お迎え人形船、網代車、凰輦、凰神輿、列外船などで構成され、堂島川を覆いつくす。海上絵巻を見るようで誠に美しい。花火も必見だ。
 昼渡御の華は枕太鼓。熱気と華やかさは大阪の枕太鼓中の華。天神祭の枕太鼓は「催太鼓」と呼ばれる。大和川改修に因み、豊太閤から拝領した陣太鼓。宵宮にのみ使用され本宮には換太鼓が使用される。枕太鼓の太鼓の据え方、願人(がんじ)が被る紅の投げ頭巾などは生国魂神社のそれとおおむね同じである。
 宵宮の枕太鼓は早朝から氏地を巡行して祭礼準備の完了を告げる。夕刻、宮入り。本宮では、渡御の1時間半前から30分ごとに太鼓を打ち鳴らし、渡御の出発準備を促す。1番太鼓で各講社に出発準備をうながし、2番太鼓で社頭に参集をうながすし、3番太鼓をもって渡御の発進を知らせるる。かき手は数十人におよぶ。
 枕太鼓の打ち手を願人(がんじ)と呼ぶ。豊臣家の安泰を天満宮に祈願した36名の忠臣に由来するという。今日においても願人は36名(6チーム)。その数は頑なに守られている。太閤さんとの絆がこんなところにもいきている。装束は五奉行に因んで5色が織り込まれる。投げ頭巾の赤、着物の肩から胸を白、腰を黄と赤、裾を濃紺に染め分ける。
 本宮祭における陸渡御の行列は牛馬とりわけ馬が多数奉仕する。凰輦、神輿、錦蓋などはみな大きく華麗、目を見張るものがある。小さな和傘を手に持ち踊る傘踊りも大阪の祭には欠かせない踊り、祭に華を添える。
 天神祭(本宮祭)が行われる7月25日の前日24日は京都・八坂神社で環幸祭(祇園祭)が行われる。京都、大阪の大きな祭が連日行われるこのころが京阪神の暑さのピーク。大阪の夏祭りの最後を飾る南祭(大阪・住吉神社。7月末から8月1日)が終わるころから、大阪の厚さも少し和らぐ。
 炎天燃えるような日に行われる天神祭。大阪らしさを感じる良い祭りである。−平成19年7月−


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