九州絶佳選
福岡
みあれ祭(宗像大社)−宗像市玄海町−
海上渡御  宗像大社は、全国6千余の宗像社の総本社。日本書紀は、天照大神の天孫降臨に先立ち、その御子神である三姫神を「汝三神 宜しく 道中に降居」したと伝える。古来、宗像大社は、道主貴(みちぬしのむち)としてあらゆる道を司る神として信仰されてきた。今日では、交通安全の神様として参拝者が絶えない社である。
 宗像大社は、玄海灘の孤島・沖ノ島にある沖津宮、大島にある中津宮、九州本土・宗像にある辺津宮の三宮の総称。天照大神の三女神・・・田心姫神(たごりひめのかみ、沖津宮)、湍津姫神(たぎつひめのかみ、中津宮)、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ、辺津宮)・・・を祀る。
 辺津宮の神殿は、玄海灘と響灘を分ける鐘崎の西方、釣川の右岸
沖津宮(沖ノ島))
中津宮(大島)
遥拝所(大島)
辺津宮
に鎮座する。本殿、拝殿、祈願殿とも立派なものである。現在の拝殿は筑前国主小早川隆景が天正18(1590)年に造営したもの。
 沖津宮は、玄界灘の真っただ中にある孤島沖ノ島にある。島自体がご神体の周囲4キロの島。沖津宮の奉仕者以外に住む人もいない絶海の孤島である。別名、不言島(おいわずさま)とも称せられる。島での見聞を口に出すこともはばかられ、いまなお女人禁制が厳格に守られているという。沖ノ島は海の正倉院ともいわれる。勾玉や漢式鏡、腰佩など4世紀から9世紀にかけての遺物が約12万点以上も出土し、境内の神宝館に収蔵、展示されている。宝器の質の高さと量の多さは圧倒的である。
 沖ノ島へ許可なく出入りすることは許されず、人々は、大島にある遥拝所から沖ノ島参拝の願いを叶える。大島は、神湊からフェリーで30分。
 宗像大社の秋季大祭(みあれ祭)は、例年、10月1〜3日の3日間。1日目は3姫神の海上渡御。市杵島姫神が神湊の洋上で2神を待ち受ける。3姫神が海上で合流し、御長手(3神の象徴で竹に布をつけたもの)をのせた御座船のまわりを宗像七浦の神送り船(供の漁船)が旋回。神送り船は玄界灘に雄飛した宗像七浦の海人族の残影。勇壮な絵巻をみるようである(写真上)。3姫神は神湊港に着岸して、御座船から降り、神輿で港の裏山の山腹にある頓宮(お旅所)に向かい、頓宮で神事が終わると3姫神は辺津宮に入られる。2日目は、辺津宮で流鏑馬、ウラヤス舞などが奉納される。−平成17年−


大島港

神湊