虹ノ松原に「二軒茶屋」というところがある。松林の中ほどに幹道が通っていて茶店が二軒あった。今もやっぱり二軒ある。その駐車場の傍らに哀浪(1883_1966年)の歌碑が建っている。九州歌壇で活躍した人である。
松原を抜け海岸に出ると薄紅色した貝がら(さくら貝)がきらきらと海中に漂い或いは砂浜で透き通った身を波に任せている。この悲しさもまた人生に似ている。
二軒茶屋の哀浪の歌碑の近くに、山頭火の歌碑が並んである。山頭火もまた虹ノ松原を詠った歌人だった。まったく作風、境涯を異にする二人が同居する松原に立つと、松原がまた私たちに新鮮な旅情を与えてくれる。 -平成17年11月- |