宗像市の西部を流れる釣川の河口に神湊(こうのみなと)という町がある。名のある料理店などもあり会合、保養などに足を向ける人も多いところ。
昭和7年1月、霰が降り、やがてしぐれになる。さつき松原沿いの道を急ぎ早に歩く雲水姿の托鉢僧がいる。‘木の葉に笠に音立てて霰 ’と詠む。 山頭火が泊まった「松の寺」は神湊の隣船禅寺(写真左)だった。‘
松の寺のしぐれとなってとまります ’と詠む山頭火。山頭火が禅寺・松の寺に泊まったのは寺の住職・田代宗俊和尚と親交があったゆえからである。
翌昭和8年秋、隣船禅寺に句碑(写真左下)を建てるため山頭火は‘ 松はみな枝垂れて南無観世音 ’の句を揮毫している。この句は山頭火が味取観音(熊本県植木町)で詠んだ句。句碑は山頭火の生前句碑の唯一のものである。字は不要の墓石に、地元の石工が刻んだものといわれるが、山頭火の筆跡が忠実に再現されたよい字が刻まれている。−平成17年10月− |