九州絶佳選
福岡
飯塚の山頭火−飯塚市−
うしろすがたのしぐれてゆくか  <山頭火>
 昭和6年12月22日、熊本を立った山頭火は、山鹿、八女の福島、久留米、二日市、太宰府を経て、大晦日にはもう飯塚を行乞している。憑かれたように歩く山頭火。托鉢をしながら僅か一週間でこれほどの道のりを歩くことは容易なことではない。
 熊本の義庵和尚や友人の善意を反故にして再び行乞行脚に出た山頭火は、歩行禅によってしかもはや自らの生きる道を見出しえなかったのであろう。北部九州地方の冬はしぐれる日も多い。山頭火の厳しい行乞の日は続き、はや1年が暮れようとしている。
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