大分 |
長湯温泉−竹田市直入町− |
九州山地の高峰・久住連山の東麓に人口900人ほどの町直入町がある。この辺りの山々はビュート或いはメーサの形状をなし、絡み合い、四国の坂出辺りの山に似てなにかしら霊験にも通ずる異郷の心地がするところ。
町の中央を貫流する芹川沿いに長湯温泉(写真左)がある。長湯温泉は、炭酸泉の名湯として知られ、古くから湯治場として栄えたところである。温泉を訪れた文人墨客は多いが、山頭火が長湯温泉を訪れたのは昭和5年の秋だった。僧形姿の山頭火は行乞の旅路に身をゆだねていたのであるが、豊前路とりわけ長湯温泉は気に入ったところであったのだろう。句にのびのびとした余裕が感じられる。 |
宿までかまきりついてきたか
まだ奥に家がある 牛をひいてゆく <山頭火> |
水は、山頭火が生涯のテーマとしたもの。よほど長湯の温泉とうまい水が気に入ったようである。温泉街の道筋や公園などに山頭火の句碑が立っている。長湯に未練を残しながら久住に向う山頭火。芹川に架かる橋を渡り、河畔の右手にカニ湯を眺めながら、山頭火は長湯の里を後にして久住に向うのであった。荒涼とした久住のススキの原(写真右)を往く山頭火の後姿が目に浮ぶようである。−平成17年10月−
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直入の山々 |
長湯温泉 |
長湯温泉(ガニ湯) |
長湯温泉 |
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