脊振山地の東端、契山(412b)の南麓に大興善寺という寺がある。在所の名をとって「小松観音」、或いはつつじの名所であるところから「つつじ寺」とも呼ばれる寺。創建は717年(養老元年)、行基の開創と伝えられる天台宗の古刹である。室町時代に筑紫惟門が本堂を再建し、藩政期に対馬守義成が重建している。当地は藩政期の対馬領であった。
高く長い石段を登り、山門を潜ると境内。さらにその上に続く石段を登り詰めると落ち着いた趣のある本堂が建っている。草葺の寄棟の大屋根に切妻の向拝がついている。庫裏も鈎造りの草葺の造り。紅葉の影が大屋根に落ち、この寺の静けさがいっそう深まってゆく。
本堂の左手に国宝殿があり、木造広目天立像と木造多聞天立像が並んで祭られている。ともに一木彫成の素木造で兜を戴き、鎧を着している。藤原期の作とされているが、沈静な趣のあるよい仏像である。−平成17年11月− |