九州絶佳選
福岡
千年家(横大路家住宅)−新宮町関−
 横大路家住宅が建てられたのは17世紀の中葉という。九州で最古、全国でも最古級の民家であろう。家相図から棟のかたちがコの字形をしたクド造りの時期もあった。文化文政年間(19世紀初頭)に鈎造りに改造され、その後、間取りなどにも変更が加えられた。家相図や解体によってそのような住宅の履歴が明らかになり、横大路家住宅は、19世紀初頭の姿に復元されている。山裾の少し高くなったった丘陵で、屋敷林に囲まれて横大路家住宅はある。
 横大路家住宅はまた、途方もなく古い伝説を伝える家系である。西暦805年、遣唐使として唐土から帰朝した伝教大師(最澄)が花鶴浜(古賀市)に上陸されたおり横大路家に滞在して布教活動を行い、帰洛の際、お礼に毘沙門天像と法理の火、岩井の水を授け、それらを大事にすれば子孫が栄えるといわれたと伝えている。以来、1200年、横大路家は絶えることなく現在まで栄え、ご当主は44代目という。「横大路の姓は伝教大師からいただいたものです。縁者が集まって1200年祭を行ないました。年1回、毘沙門天の開帳を行なっています。」とのことである。横大路家には四国の忌部を髣髴とさせる古色がある。−平成18年2月−

  九州: 草屋根紀行 漏斗造りの民家 白石の田園風景 大興禅寺 川口家住宅(以上、佐賀) 千年家(福岡)
  広島: 熊野点景 加茂の茅葺民家 芸北の曲り屋 芸北の古民家 堀江家住宅 荒木家住宅
  京都: 茅葺の風景 丹波路の風景
  四国: 三木家住宅(徳島)  細川家住宅(香川) 旧恵利家住宅(香川)