ウケザキオオヤマレンゲ−交野市私市(大阪市立大学理学部附属植物園)− |
天女花露したたかに咲きにけり <吾山> |
五月雨で水量を増した天の川の川面に温かい風が吹き、野山の緑が日増しに濃くなるころ、交野の杜(大阪市立大学理学部附属植物園)は幼稚園児や小中学生の遠足、同好者の写生会や植物観察会などで随分にぎやかである。花木が美しく、杜に漂うかすかな香が心地よく、ハマナスやカタクリ、ミスミソウ、スミレにも感じなかった寂とした優艶な活きが生じるのもこのころだ。
5月の連休が過ぎ、モチツツジやヒラドツツジの花も盛期を過ぎたころ、花木園あたりの杜の高みに立つと、ユリノキが無数の小さな花(写真下)がつけ、その背後で白煙様の花をつけた喬木はヒトツバタゴ。
遊歩道沿いのユリノキの樹下では、鮮紅色の花糸がよく目立つホウノキ(モクレン科)が黄白色の花をつけている。花木園の奥まったところで咲く花はウケザキオオヤマレンゲ(モクレン科。写真写真上)だ。オオヤマレンゲ(モクレン科)とホウノキの交雑種。オオヤマレンゲ(大山蓮華。写真右)は白色の花をうつむき加減に咲かせ、その可憐さから天女花と書くこともある。ウケザキオオヤマレンゲのカップ状のつぼみが割れ開花すると、あたりに清涼感のするかすかな香が漂う。花はホオノキに似て上向きに咲き、花の色はオオヤマレンゲ譲りだ。両者の長所をえてウケザキオオヤマレンゲははっとするような美しさを醸し出している。花木の白眉であろう。
オオヤマレンゲやウケザキオオヤマレンゲなどモクレン科の植物は世界のどの民族にも好かれる花である。日本では椿、梅、菊などとともに茶花として珍重されてきた。ユリノキでは代用できないた簡潔で寂とした雰囲気が好まれるのだろう。-平成23年5月- |
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ユリノキの花 |
シナユリノキの花 |
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