長井の浦(万葉集)−三原市糸崎−
遣新羅使詠歌 大判官(壬生使主宇太)詠歌
 あおによし奈良の都に行く人もがも草枕旅行く船の泊告げむに
                        (万葉集 巻15 3612)
長井浦 遣新羅使大判官詠歌にみる長井浦は、三原市の糸崎(写真左)に比定される。その南側に因島、佐木島など芸予諸島の島々が浮かぶ波静かな浦である。
 天平8年(736年)、遣新羅使一行は、鞆の浦を経て長井の浦で船泊。万葉集に3首、当地での詠歌がみえる。いずれも奈良の都を偲ぶものばかりである。
 天平8年の遣新羅使は、都合27回中、23回目の遣使。新羅との関係悪化により、前途の不安が使節団を覆っていたことであろう。案の定、使節団は新羅に入京を拒否され、何の成果もなく帰京している。 新羅の無礼は、帰朝後、伊勢神宮へ報告された。−平成18年6月−
遣新羅使詠歌
 海原を八十島隠り来ぬれども奈良の都は忘れかねつも
                        (万葉集 巻15 3613)
 帰るさに妹に見せむわたつみの沖つ白波拾いてゆかな
                        (万葉集 巻15 3614)

遣新羅使詠歌(万葉集)
暗峠越えの道 家島 多麻の浦 鞆の浦
長井の浦 風早の浦 倉橋島 麻里布の浦
大島の鳴門 熊毛の浦 祝島 鴻臚館跡
荒津の崎 唐泊 引津の泊 神集島
壱岐・原の辻遺跡 対馬の運河 対馬・竹敷の浦 参考:(磐国山)