鹿児島の島々
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屋久島
 安房港は屋久島の玄関口。海山ともに美しい屋久島は周囲130キロメートル余の島。九州一の高山、宮ノ浦岳(1935メートル)を島の中央に配し、外輪に割石岳・尾立岳・愛子岳など千メートル級の山々を従え、洋上に浮かぶ。山腹に雲を蓄え、左右に鋭い弧を描き、墨絵のように重畳をなす山稜が彼方の深山にいざなう。
 
ヤクサル
ヒメシャラ
樹齢7000年、縄文杉と命名された世界の頂点に立つ杉の巨木が発見されたのはたかだか40年ほど前のこと。海中から高山が生えでた急峻な地形は、亜熱帯から亜寒帯に及ぶ植物の垂直分布の諸相を豊かにした。杉の生育適地は山の上部に位置し、また森の神々しさがアミニズムに通ずる信仰を生み人々の接近を阻み、縄文杉や紀元杉などの個体を育んだのである。登山者から更なる巨木の目撃情報があるという事実は、いまなお神秘に満ちた島として語るに十分である。
 屋久杉は樹齢1000年以上のものを指すようである。木目細かで堅牢な特異な材質を持つ屋久杉は、我が国の木の文化にも少なからず影響を与えつづけているように思われる。豊臣秀吉が方広寺の建築用材として屋久杉を用い、また古建築の要所に残る屋久杉は回船などによって全国に運ばれた。いまなお土埋木や風倒木が珍重される屋久杉は、木の文化の維持に選択的な輝きを放っている。
 屋久杉と同居するヒメシャラやイスノキ、更にはその上部にも生育するモミ、ツガなどの巨木が火成岩の岩肌に悄然として繁茂する景観は無双である。
大川の滝
大川の滝
紀元杉
紀元杉
吉田集落
吉田集落
白谷雲水峡
白谷雲水峡

白谷雲水峡 大川の滝