岡田鴨神社−木津川市加茂町北− |
南山城に岡田鴨神社が鎮座する。延喜式内社で月次、新嘗、祈年、案上の祭りにあずかった大社。祭神は加茂建角身命。社は木津川左岸の段丘上にある。あたりはのどかな田園地帯。昔の笠置路の路傍にある。3キロほど西に向かうと恭仁京跡、その北約2キロの山腹に海住山寺、さらに高麗寺跡などが所在し、辺りはいわば南都の副都心ともいうべきところ。古代、豪族の別業地や皇族の離宮が営まれることもあった。岡田鴨神社あたりは続日本紀にしるされ、和銅元(708)年に元明天皇の行幸があった岡田離宮の故地とみるむきもある。今は昔、田園と化したこの静けさが、社の遠い記憶が蘇る舞台装置のようにも思われる。
山城風土記(逸分)は、賀茂大神の由来につき日向の高千穂の峯に天降った賀茂建角身命が神倭磐余彦尊に御前に立ち、大和葛木山の峯に宿っていたが、そこより漸に山城国岡田の加茂に遷り、山代河を下り葛野河と賀茂河が会う所に至り、賀茂河を上り久我国の北の山基に定り、名づけて賀茂という…云々、とある。岡田鴨神社は大和の葛城山から京都の上賀茂神社に宿り座した賀茂神の移動ルート上の社である。カモ族の移動を知る上でも重要な社である。−平成23年5月− |
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