上卿屋敷(林家住宅)−廿日市市宮島町−
 宮島の厳島神社の裏手は滝町。滝小路という名称で親しまれ、通りは、厳島神社の神職の居住地になっていたところで、棚守、上卿しょうけい、祝師などの社家や内待、大聖院の宿坊が軒を連ねるところだった。
 通りを行くと石垣の屋敷に柿葺きの薬医門を備えた上卿屋敷がある。上卿は、朝廷から差遣わされる奉幣使の代参を役目とする神職である。奉幣に当たっては厳島神宮の勅使橋(反橋)から神殿に出入りしたという。
 上卿屋敷の薬医門を潜ると、切妻の緩やかな屋根勾配の主屋がある。玄関は千鳥破風を配し、式台がある。武家屋敷風の造りである。屋敷の南面には濡縁が回らされ、築山がある。むかし築山を下ったところに茶室が設けられていたというがいまは欠いている。
 上卿屋敷の美しさは障子にある。簡素で明るく、なんとも静かで落ち着いたよい雰囲気がある。讃岐の猪熊家などとともに社家の数少ない遺構である。−平成18年−

上卿屋敷
勅使橋(厳島神社)

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