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真鍋家住宅 |
県道9号線に沿って香川県大野原町から大谷山(標高509b、唐谷峠。写真右)をゆく。峠を越え断崖に刻まれた山腹をゆらゆらと蛇行しながら進むと、すり鉢状のカルデラにみえる切山地区がある。日当たりのよい丘陵上にポツン、ポツンと集落が展開している。遠目には鮮やかなグリーンの海に家屋がプカリ、プカリと浮かんでいるように見える。
切山は平家の谷。安徳の宮、下谷八幡神社(上の宮・下の宮)など平家の古跡が伝えられている。真鍋家住宅は切山の西部山腹に張り出した小高い丘の上にある(写真左上)。安徳帝の守護に当たった五士の一人、平清房(平清盛8男)を始祖とする家系と伝えられ、寄棟造りの木造茅葺住宅である。柱を塗り込めた重厚な土壁や間取り(中ネマ三間取り)、棟のホテ(茅を束ねた棟押さえ)などに古風を残している。17世紀中ごろの住宅とされる。徳島の木村家住宅や香川の細川家住宅、恵利家住宅などとともに四国の貴重な古建築物である。屋内に入ると、ニワ(土間)に続くナカノマに切られた囲炉裏に火が入れてある。防虫、乾燥効果があるという。屋根裏の竹がなんともいえない輝きを放っている。
家屋周りの防風林もカゴノキ、アカガシ、サクラなど樹木の諸相も豊かである。「要害の森」として不伐の家訓が代々守られてきたという。こうした家人の生活態度が家屋の保存に奇跡をもたらしたのであろう。-平成16年8月- |
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