野呂山−呉市川尻町−
野呂山 芸予諸島は、瀬戸内海で最も多くの島々が連なり、重なり合って多島美を極めるところ。野呂山(主峰は標高839bの膳棚山)は、そうした島々を眺める最適地。
 安芸灘大橋(写真左)が美しい弧線を描き、蒲刈大橋が蒲刈下島と上島を結びその左方に豊島、大崎下島、上島が連なる。眼下の円錐形をした小島は柏島。遠く四国の石鎚山の頂がうっすらと大空に浮んでいる。
 野呂山の頂上は、台地状のなだらかな起伏をなしている。岩海は太鼓の造山活動の証。山腹におんびき岩、かぶと岩、かんすなげ岩などの奇岩怪石が散在する。硬質の岩石が幾百万年の歳月によってつくりだした奇観である。
 山頂のビジターセンター近くに池があって氷池という。冬期に氷を切り出した名残の池。 −平成18年7月− 
 羅漢渓谷−廿日市市栗栖等−
羅漢峡谷 国道186号線の栗栖トンネルを過ぎ、吉和町方面に進むと、道は次第に高度を増す。やがて国道に沿うようにして流れる小瀬川が蛇行しながら深山にいざなう。そこは、赤茶けた花崗岩が美しい地肌をみせるところ。通称羅漢渓谷と称されるこの峡谷は、国道とつかず離れず延々、数キロメートル続き、ドライバーを楽しませてくれる。  
 地球の長い時の経過が次第に滝を後退させているが、ほとばしる水がそこかしこの巖をなめ、峡谷は次第にその姿を細くして西中国の山中に消えてゆく。羅漢渓谷の魅力は、峡谷の赤い岩肌とグリーン色の水との対比の美しさであろう。−平成18年8月− 
 リンドウの咲く頃(道後山)−庄原市西城町−
道後山(リンドウ) 道後山は広島県東部の山。中国地方の脊梁をなす山。鳥取県と広島県の県境にあって山稜は丸くなだらかで美しい。ハイカーが一度は歩きたい山の一つだ。
 道後山(1269b)は、岩樋山(1271b、写真下)の東にある峰続きの山。両山を道後山と総称される。
 岩樋山の西側斜面はスキー場。山麓は笹が繁る草原になっていて、四季折々に動植物の諸相を楽しむことができる。
 リンドウは秋の野草の最後に咲く花。マツムシソウ、ヨシノアザミ、ウメバチソウ、ヤカウシソウ、イナカギク、シラヤマギクなどなど・・・、この山裾の野草に飽きることはない。 
 東谷峡谷−廿日市市吉和町等−
東谷峡谷 中国山地の脊梁部は標高千メートル級の連山が東西に連なっているが、脊梁部の山麓は準平原をなし、山地の標高が一定している。したがって、新見、庄原、戸河内、六日市など中国山地の脊梁部に古くから都市が発達し、中国自動車道も比較的順調に建設が進み、中国地方の開発という意味では大変好都合であったろう。
 湯来から吉和に国道488号線が通じている。
 車一台がやっと通ずる細路。道沿いに水内川が流れ、加下渓、東谷峡谷を形成している。この辺りの峡谷は、準平原の古生層を形成していた緑色岩類を花崗岩が押し上げた稀有な地層が現れるところ。谷に下りると、白っぽい花崗岩の河床の上部に緑色岩が散乱する地形を見ることができる。後退した小滝は随所にある。東谷峡谷から程近い吉和川峡谷はむしろ緑色岩類が基盤を成し、花崗岩の露出がみられない。地層が若いということであろうか。
 秋の頃、東谷峡谷のナラの木が紅葉し、樹下の国道の行く手は黄色のフィルターをかけたよう。なんとも幻想的な光景である。東谷峡谷の東方にモミの木森林公園がある。−平成18年11月−