鈴張の石垣棚田−安佐北区安佐町− | |
片廻山(標高682メートル)東麓の険しい山裾に沿って国道261号線がループを描く。張出した馬の背のような片廻山の尾根上に明神峠がある。 明神峠は、山陰と山陽を分かつ陰陽分水嶺。峠を越えると江の川水系、峠の手前が太田川水系である。 太田川の支流鈴張川に沿って鈴張地区が開け、石垣田が延々と続いている。営々として築かれた無数の石垣は、遠目にも実に整然としていて、見事なものである。 |
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妹背の滝−廿日市市大野− | |
巖をほとばしる滝は、豪快で清冽感がある。糸を引くような滝は静寂感があってよい。妹背の滝は、そのような柔、豪それぞれの滝が一所に共存するはかったようにうまく出来た滝である。 向かって左側が雄滝、右側が雌滝(写真左)。雌滝が雄滝より高く、50メートルの落差がある。ひらがなの「し」の字を書くようにして落下する雌滝は白糸の滝の別称がある。 滝は 滝の上部は渓流公園になっている。川底は赤茶けた風化花崗岩。なかなか美しいものである。 経小屋山頂からの眺めは圧巻。特に安芸灘の美しい景観は無双である。 宮島の弥山に似てこの山もまた山腹に大岩が露出し、山頂に大石がある。−平成18年5月− |
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空谷の棚田−安芸太田町加計− | |
太田川の支流西宗川のそのまた細流が大丸峰(標高778b)、陣ゲ尾(775b)、太平山の斜面を駆けのぼり、空に消える谷の斜面に、横山、野影、千本の集落が鎮まっている。石垣を積み、耕地を生み出して、棚田がひろがる。水路の水がほとばしり、谷川の水が冷気を養う。 雲海が晴れ彼方の山々が濃いグリーンの稜線を際立たせるころ、この空谷のふれあい農園から人々の歓声が聞こえることであろう。−平成18年7月− |
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三段峡−安芸太田町加計− | |
三段峡は、太田川の支流柴木川と柴木川に流入する田代川、横川などいく筋もの細流によって形成された勇壮・雄大な大峡谷である。峡谷は三段峡の入口付近の長淵から聖湖堰堤下まで十数キロもある。加えて横川の峡谷などを加えると二十キロメートルはゆうに超える大峡谷である。 白々とした花崗岩に峡谷に水のブルーがよく映える。峡谷の岩盤に刻まれた遊歩道を往くほどに、頭上はトチやカエデの新緑を透かし込んだ柔らかや光りに覆われ、ツガの木が私たちを原始の異境にいざなう。千状万態の峡谷に飽きることはない。眼下の峡谷にはゴキやヒラメが棲むという。 芸北の秋は早い。もともと標高が高く寒冷であるうえ山には落葉樹が多いから、広島の人々は11月になると紅葉狩りに繰り出す。ヤマモミジ、ホウノキ、トチノキ、ブナ、コナラ、エノキ、ヤマザクラ、イタヤカエデ等々登山道や渓谷周りは秋を愛でる人々で賑わう。恐羅漢山(1109b)の東、内黒峠に立つと周囲の山々はもうすっかり紅葉している。日一日と木の葉が色づき、やがて木枯らしが吹き、雪が舞い始めるとスキー客で賑わう。よく晴れた秋の日、三段峡の遊歩道はちょっとした紅葉狩りラッシュが続いている。紅葉に染まる峡谷もよいが、明るく賑やかな風景を好む人は初夏の峡谷を歩くとよいであろう。 一作年の秋、三段峡の入口まで乗り入れていたJR可部線は廃止になり、すでにレールの撤去なども終わり、新たな三段峡観光の時代を迎えている。−平成18年11月− |
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奥湯来の渓谷−広島市佐伯区湯来− | |
トチの落葉がはらはらと舞い、ヒヨドリの声が少し甲高く聞こえる頃、奥湯来の渓谷の紅葉がようやく黄ばみはじめ、ながい冬ごもりの季節を迎えようとしている。−平成18年10月− | |
峡谷の秋(吉和川) | |
摂氏6度。晩秋の頃、西中国山地の山々が紅く燃えている。 吉和川につかず離れずやっと車一台が通うほどの細路をゆく。国道(488号線)とは名ばかりの道であるが、三坂峠(標高960b)を越えれば島根県益田市(匹見)に通ずる県境の大事な道。利用する地区民も多い。 夏場、渓流釣りで賑わった吉和川に人影はなく、巖に積もる落葉が晩秋の陽を受けて弱い光を放っている。巌に砕けた飛沫に押し出され、ひとひらまたひとひら緑石を敷きつめた清流を木の葉が下ってゆく。 まもなく北風のふく季節。白糸の滝のごと山頂から糸をひく白線は、吉和のスキー場の雪。秋が深まる頃、早々とスキーシーズンを迎える。−平成18年11月− |
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