空也上人(六波羅密寺)−京都市− |
鴨川の東辺、東大路の北に民家に包まれて六波羅密寺(写真左)がある。天暦5(951)年、空也上人によって開創され、十一面観音を祀る。新義真言宗智山派に属し、西国33ケ所の第17番札所。巡礼者が絶えない寺である。
本堂は7間5間、前面3間の向拝を附した単層屋根4注本瓦葺の堂々としたものである。貞治2(1363)年に再建されているが、室町初期の和様建築の好尚を伝える建物である。
六波羅は、平氏の盛時においては一門の邸宅が甍を連ね、衰退後は鎌倉幕府が探題を構えたところだ。
境内に入ると、右手に当寺所有の空也上人像の写真が掲示してある(写真下左)。口から6体の化仏を吐き、素足に草鞋履き。頭陀袋を背負い、胸に鉦をかけ、右手に撞木を持ち、左手で鹿角の杖をつく。やや前かがみの姿勢を保ち、両足を開き気味にしてしっかりと大地を踏みしめて勧進する空也は、それ自体が信仰の対象であったのだ。六斎念仏の始祖となった空也は、その後に多くの衆徒が従い、休むことなく津々浦々にまで足跡を刻んだのである。集団内に空也像を奉安し、全国行脚する寺中の人々もいた。時宗の開祖、一遍上人も、六波羅蜜寺の堂にとどまって踊り念仏を勧進したという。
寺には、優れた仏像などが数多くあり、本尊十一面観音や空也上人像、四天王像、閻魔王、伝運慶湛慶像、平清盛像(写真下右)などがある。本堂の左手には阿古屋塚があり、石棺の蓋の上に、宝塔が立っている。 |
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空也上人像 |
伝平清盛像 |
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