弥仙山麓の春−綾部市於与岐− |
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弥仙山遠景(於与岐) |
京都の北部、綾部市於与岐に弥仙山がある。標高664メートル。際立って高くはないが、ビュートの山容が美しい。山頂に金峯神社が鎮座する。古くから北近畿の修験道の一角をなす山だ。山稜伝いに君尾山光明寺に通ずるいわば大駆けの道が巡る。行場に修験者を見かけることもなく、今では春秋に健脚のハイカーの姿をみかけるのみである。
弥仙山の登山口は於与岐(およぎ)という集落にある。登山口にささやかな駐車場が設けられている。同集落から弥仙山頂に向かう者が多いようである。
春、伊佐津川(いさづがわ)の白々とした岩床に陽が射し、身を切るような水も温む4月下旬、シロバナタンポポが南風に揺れ、ヤブツバキの花が清流に彩りを添える。5月3日は弥仙山三社大祭。登山シーズンの幕開けを告げる祭りである。
弥仙山麓の集落・於与岐は行政区画的には丹波に属するが丹後境の村。その植生や習俗は福知山北部や舞鶴・宮津・京丹後市など丹後のそれと似通っている。シロバナタンポポやイカリソウなどの分布は共通し、庚申信仰などの民俗はこれら地方に共通する。もっとも庚申塔の分布につき、福知山市の谷村、雲原などに存在する庚申塔が像刻塔であるのに対し、於与岐のそれは文字塔であるにせよ、いずれも庚申信仰が盛んな地域。それはまた谷村、雲原などが三岳山麓の村として修験道にかかわりを持っていた点につき、於与岐と弥仙山との関係においても共通する。そうした相似通った宗教的な環境のもとで庚申信仰が根づいたのだろう。
於与岐の弥仙山登山口付近に水分神社が鎮座する。エノキの大木が知られているが、本殿奥の森にヤブツバキの木がある。クロツバキではないかと思うが、深い真紅の花は凛として美しい。−平成23年4月− |
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