加茂は、‘山高く 川の瀬清し 百代まで 神しみ行かむ 大宮所’ と万葉集に歌われた恭仁京の故地である。古くは、奈良の葛城を発った鴨族が賀茂(加茂町)の岡田に到達し、さらにその一流は山城川(木津川)を下り、淀川との合流点から葛野川(桂川)を遡り、賀茂川の上流久我(賀茂)の地に入ったと山背風土記はしるす。加茂に鎮座する岡田鴨神社はそうした移動を重ねつつ全国に枝村をつくった鴨族の足跡を刻む社であろう。口畑の山麓に立つと、木津川の段丘上に恭仁京址がみえ、眼下に秋の陽を浴びて静かな佇まいをみせる集落がみえる。近年、加茂は茶の産地としてきこえるようになった。
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