薩摩の幻影(中央公園)−鹿児島市
中央公園 日曜日の午後、公園は家族連れや若い男女のグループ、お年寄りが集い、芝生や木陰のベンチで日向ぼっこをしながら、それぞれの静かなときを過ごす。
 公園周りには、近世の薩摩を象徴するような軍服姿の西郷さん、洋館造りの資料館に公会堂などがある。薩摩の縮図がみえるようである。
 噴水は静寂のアクセント。ハトが舞う。都心の一角に平和を映すいい風景がある。
 中央公園は、実は薩摩藩政時代の造士館や演舞館の跡地。薩摩城下の士子弟が朱子学、中国語など多様な教科を学び、聴講も許された造士館。実に師範22家が剣術や犬追物などの教授にあたった演舞館。ここは薩摩最高の文化ゾーンだった。西郷さんも大久保利通などもこの地に学び、学芸、人格を研鑚したのである。

いずろの風景-鹿児島市
いずろ交差点 いずろ(石灯篭)
 鹿児島市内の繁華街に「いずろ」と呼ばれる一角がある。その中心部の「いずろ交差点」の三隅に3基、石燈篭が建っている。地元の方に伺うと、鹿児島弁は言葉を縮めて発音する特徴があって、いずろは石燈篭の意であるとのことである。3基のうち交差点の北西隅の大国主命神社前の1基が一番古く、航路標識説或いは神社の燈篭と2説あるようである。一番古い燈篭を除く2基は、20年ほど前に復元された。コンクリートの街に石燈篭とは、何となくミスマッチのように思われがちであるが、見るほどに街に溶け込んでいて違和感がない。いずろのいい風景の中を、市電が通り過ぎてゆく。