四国風物選 愛媛 ハギとアサギマダラ−西予市高山−
ハギとアサギマダラ−西予市明浜町高山−
高山や露しげしハギの道 〈芳月〉
 ノジギクは晩秋から冬にかけ海浜に咲く花。南予の代表的な花である。山間のそれはヤマハギ(単にハギとも)。秋の訪れとともに南予の里山を紅紫色に染める。この花に故郷を想う人も多いことだろう。
ヤマハギ
アサギマダラ
 西予市吉田町に高山という宇和海に開けた半農半漁の町がある。背後に迫る山を超えると宇和盆地に至る。
 秋の日の早朝、高山の山道を歩くと、道端或いは切立った山際のがけ地でハギが咲いている。露を含んで美しい。南予の気候によくなじむ。ハギは鹿踊りの牝鹿にかざす花の代表格。
 高山から宇和への峠道をたどるほどに、林間にアサギマダラが飛び交う。羽根を休め蜜を吸うものもいる(写真左)。
 峠を越えた宇和の山道でもアサギマダラが飛び交い、咲き始めたツワブキの蜜を吸っている。
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 タカの渡りが過ぎ、間もなくヒヨドリの渡り(移動)が本格化する季節。果たしてこのアサギマダラはいずこから現れ、いずこへ去ろうとするのか。宇和海を越え九州本土或いは西南諸島にまで旅するものか。南予のこのあたりで繁殖するものもいるだろう。
 春のころ、羽化した幼蝶が日本海や瀬戸内海或いは紀伊水道を越え、大峰山或いは南アルプス方面にまで移動する。旅する蝶・アサギマダラへの興味は尽きることがない。−平成23年10月− 
    参考 : スナビキソウとアサギマダラ〈近畿風雲抄〉