京都
もう一つの学園祭 農大マルシェ−綾部市位田町−
 京都の大学や大学校の中には、全寮制かつ募集定員がわずかな学校がいくつかある。府立農業大学校もそのような学校のひとつ。1学年20名(農学科,2年制)の定員。このほか近年、研修科が設けられ、新規就農者等に対する野菜の栽培技術等の速習(数日又は55日間)を行っている。需要に即応した全国的にも珍しいコースは、大いに注目されてよいだろう。
 府立農業大学校は丹波高原の西端に所在する。そこは以久田野高原とも称され、須知・下山とともにもっとも丹波高原らしい高原。以久田野高原には当大学校や畜産センターが設置され、京都の農業の研究教育の中核地とされている。特に、当大学校は京都の特産物中‘京野菜’及び‘茶’の担い手の教育機関と位置づけられ、栽培技術と経営を学ぶ。卒業生は農業生産法人等に就職する者も多いという。
 近年、農産品の生産技術にとどまらず、その企業的経営や原価意識の醸成が求められ、京都府においても、「京都府農業経営者ネットワーク」を構築し、情報提供や若手農業経営者相互の交流等を行うとともに、「京都府農業経営者アカデミー」を開講(H25.9〜29.3予定)するなど経営能力の向上に積極的に取り組んでいるようだ。

 2013.7.27京都府立農業大学校で‘農大マルシェ’(農大市場)が開催された。従来から行われていた農大祭りを衣替えし、今年で3回目を迎えるという。
 農大マルシェは、午前8時45分から地元の‘位田太鼓’でオープニング。テープカットは、荒縄を剪定ばさみでカットするユニークさ。 
テープカット
 マルシェは、農産物の即売やグルメ・スィーツ(出店)のほか、「入学相談」コーナーや「若手農業経営者アカデミー・オープン講座(講演会)」などが企画され、趣向も豊か。

農大マルシェ 即売コーナーでは農大の学生が育てた野菜・花を販売。学生企画の野菜収穫体験は受付前に行列ができる盛況ぶり。お茶カフェも好評のようだ。グルメ・スィーツは15団体が出店。
 入学相談コーナー(府立農業大学校、成美大学・同短期大学部、府立林業大学校)は、開場草々から満席になるなど訪問者で賑わい、応対に忙しそう。

 農大に隣接する畜産センターではこの日、場内を開放し小牛と子供のふれあいが企画された。生後8日目の小牛が2頭、畜舎を出てセンターの庭に放たれた。牛に触ったり、背丈ほどの牧草の包をキャンパスにして‘お絵かき’。授乳の実演も行われた。小牛は意外に高齢者にも人気のようである。

 農大の会場に戻ると、本館2階の講堂で、「株式会社農業法人みずほ」の社長長谷川久夫氏の公開講義が始まっている。
長谷川社長は、辛口の農業経営の論評で知られた人。公開アカデミー講座に応募した若手農業経営者に対し、「農業経営者は原価を知れ!」「値段は人に決めてもらうな!」「農業環境をつくれ!」等々、熱心な講義が行われた。

 今年の農大マルシェは、単なる学園祭ではないはず。来年の今頃、日本の農業は180度変化し唸りをあげているかもしれない。微妙で、重大な時期にさしかかっている。消費者は無論、学生や若い農業経営者には記念すべきを農大マルシェであったはずだ。
 学舎の池でバイガモが無数の白く小さな花をつけ、その傍で京都府下第1とみられるメタセコイアの巨木が天を衝いている。農業の未来に幸あれと祈る。−平成25年7月−