京都
位田高城太鼓(いでんたかしろたいこ)−京都府綾部市位田町−

 綾部市に「位田」という町がある。由良川の右岸に細く長く、東西に延び、上位田、中位田、下位田の各地区がある。町の西部に新興団地があるが、今も昔も位田は純農村地帯である。吉美、栗村などの隣村は古くは天皇家や有力貴族の荘園として存置され、位田もその名から解かるとおり康治2(1143)年4月、従1位藤原忠通(藤原式家)が官位によって当地を賜ったことに由来するようである。延喜式内社・御手槻神社はこの町に鎮座する。町の歴史は古い。

 近年、位田は茶の産地としても聞こえるようになった。「かぶせ茶」品評会の全国1(平成20年度)はこの町の農家という。
 由良川中流域の各町では例年、10月の第2土・日を秋祭りとするところが多い。かつて宵宮には鎮守から太鼓の音が聞え、本宮には神輿の御旅所御渡、旗行列などが挙行され村々は随分、賑わったが、青少年の減少が著しく、神輿の舁(か)き手や旗持ちなどの確保が困難になった昨今では御渡、行列は中止に到ったところも多いという。しかし、中丹波の人々は太鼓のバチを捨てることはなかった。空気が乾燥する秋は、太鼓の音色もよい。和知(船井郡京丹波町

和知太鼓(H24.8道の駅「和」)

)や綾部市の山家、位田など由良川流域の多くの地区はいまも太鼓は廃れてはいない。2人掛りで小気味よく、即興で掛け合う丹波特有の伝統的な太鼓のスタイルに誘われ、飛入りが次々と現れる。こうして丹波の秋祭りは、夜遅くまで続くのである。
 位田の秋祭りの宵宮祭は今年で29回目を迎えるという。子供から大人まで、熱演が続き、トリはほら貝で始まる位田高城太鼓。外国人の参加もあり、位田の宵宮祭は国際色豊かな祭だった。―平成20年10月―