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大分 |
洞門の風景−中津市本耶馬溪町− |
インドの僧・法道仙人や越後の旅僧・禅海の足跡とどめる耶馬溪。山国川が青山を縫い、耶馬溪の奇峰を清流に映す。川のところどころに架かるアーチ式石橋が青山奇峰の風景を引き締め、申し分のない絶景を描いている。擲筆峰の景観もいいが、洞門辺りの風景も感動的である。幾百年も変わることのない山国川の美しい風景は、豊後路の絶唱であろう。
山国川はまた、その美しい風景とは裏腹にしばしば氾濫し、その険しい地形がしばしば人々を苦しめた。山国川の左岸に迫る山塊はその極点であったろう。
当地に、人馬の通行の妨げとなっていた岩盤を掘りぬき難所の通行に光を投じた越後の旅僧・禅海和尚の逸話が伝えられている。岩盤をくり貫いた「青の洞門」は150bあった。「青の洞門」は菊池寛の「恩讐の彼方に」(大正8年)」で有名になった。洞門は後世の改修によって形状は変わっているが、入り口付近などにノミ跡も生々しく、苦闘のよすがをいまに伝えている。
青の洞門の近くに法道仙人の洞窟修禅に始まるといわれる鎮西羅漢の本山羅漢寺がある。 |
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