九州絶佳選
熊本
旧第五高等学校(五高記念館)−熊本市−
 熊本大学の構内にレンガ造りの旧第五高等学校(五高)の校舎が残り、本館、別棟、表門が保存されている。
 五高は、明治19年に発布された中学校令に基づき、第五高等中学校として明治20年に発足し、同27年の学制改革によって第五高等学校と改称されたもの。昭和25年に、60年余の歴史に幕が下ろされた。九州の最高学府として有能な人材を社会に送り出し、また小泉八雲や夏目漱石が教鞭をとったことでもよく知られた学府であった。
 校舎は明治22年8月に完成したもの。明治中期の洋風建築を代表する建物である。現在、五高記念館として一般に公開されている。
  小泉八雲は2年余り五高で教鞭をとっている。漱石は八雲が五高を去った約2年後の明治29年4月、松山から着任、同33年7月まで4年余り英語の教師として教鞭をとっている。八雲が行なった「極東の将来」(講演)は学生に深い感銘を与え、漱石は五高創立10周年記念式典で、祝辞を書き、教員総代として式典でこれを読んでいる。大真面目な格調の高い祝辞である。
 「草枕」や「二百十日」の小説は、漱石が小天温泉や阿蘇に遊んだときの体験を綴ったもの。市内に漱石の坪井旧居が残っているので、あわせて見学されるとよいだろう。

本館

別棟