祈りの道(高野山町石道)−伊都郡九度山町、高野町− |
紀ノ川の南岸(左岸)、九度山町に慈尊院という寺がある。この寺から高野山の奥の院まで約24キロメートルの参道が通じる。高野山の参詣7道中のひとつ。表参道と呼ばれるこの道は、弘法大師によって開かれた道。山越え谷越え延々と続く高野への道に「町石」が立っている。
町石は五輪塔形の石塔婆。1町(約107メートル)ごとに建てられ、参詣者の高野への道しるべ。町石の造立は鎌倉時代にはじまり全220基中179基が当時のもの。高さ2、3メートルもあり、見上げるほど高く、立派である。
町石には壇上伽藍からの距離(町数)や金剛界37尊、胎臓界180尊の種子(梵字)、寄進者の名前、願文などが刻まれ、供養塔の形式を整える。
町石道は、上りは当然体力を要し、ほぼ1日かけて高野をめざす。春先、参道をいく若者に出会った。土・日にかけ、高野に参拝すると言い、町石に手を合わせている。参道はよく整備され、行く手をさえぎるものはない。
町石道は弘法大師が母玉依御前に会うために月に九度、慈尊院まで昇降された道だ。幾千万人もの人々が高野に向かった道。途方もなく古い歴史を刻んだ道である。−平成20年3月− |
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