伊吹山−米原市− |
伊吹山は滋賀・岐阜県境の山。眼下に、滔々と流れる歴史を飲み込んで白雲を抱いて虚空に腹這う山だ。標高1377メートル、伊吹山地南端の山である。
伊吹山は古来、わが国の政変の節目節目に登場する山。その南麓に展開する 「関が原」(岐阜県関が原町)は、古代最大の内戦である「壬申の乱」において大海人皇子(天武天皇)が野上に陣営を設け指揮し、近江朝を倒した故地である。大海人軍の陣地で梅雨空に靡く赤旗がみえるようだ。そこはまた、徳川家康が「関が原の戦」を制し、徳川300年の施政の地歩を固めた主戦場である。伊吹山地の西麓に回れば、織田信長・家康連合軍が浅井長政・朝倉義景連合軍を攻め長政を自害に追い込み、「関が原の戦」に繋がる家康の天下取りを予感させる「姉川の戦」の古戦場がある。
晴れた日、伊吹山の頂上に立つと、中部山岳地帯や伊勢湾が見え、眼下の琵琶湖が美しい。しかし、また伊吹山は登山にはなかなか骨の折れる山である。尖った岩石が登山道に露出し、散乱する岩石で足首を痛めやすく、登山靴は必需である。冬期には日本海から吹きぬける風が強く、相当量の降雪(昭和2年に11・8メートルを記録。世界1位。案内板から引用)がある。山頂付近は草原状をなし、植物相は豊である。山麓からバスの便などもある。−平成20年11月− |
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