中山道 醒井宿の清水−米原市醒井− |
水清き 人の心を さめが井や 底のさざれも 玉とみるまで
<雨森芳洲> |
藩政期の5街道の一つ中山道は江戸から草津まで129里、67の宿駅が置かれた。醒井宿はそのひとつ。盛期には10軒もの問丸が軒を並べる宿場だった。
炎天燃えるような夏の日、街道脇の地蔵川でバイガモが清流に身を任せている。清水は加茂神社の石垣の下から滾々と湧き出している。日本書紀などにしるされた「居醒の清水」がこの清流と見るむきもある。
バイガモガが水中で梅花様の無数の小さな花をつけている。藻中ではイトヨが棲息し巣をかけるという。かの雨森芳洲も都合2回、朝鮮通信使を伴って中山道を往来した際、この宿でバイガモを見ることもあったろう。清流の水底の小石が玉にもみえるほど地蔵川は美しいものだった。
時を経ても川は濁らず、水温は、年中15度内外という。旅人を魅了してやまない居醒の清水。川岸の‘かわと’にトマトやスイカが冷やしてある。
街道に道中合羽を肩にかけ、三度笠姿の旅人が足早に旅籠に消える。そのような錯覚を覚える古色と清浄さがこの宿にはある。 −平成21年7月− |
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