菊花の枚方宿−枚方市− |
枚方は歴史のある古い町。菊花の香る町である。秋深まる頃、枚方宿の街道筋に大輪の菊が出格子、虫篭窓が連なる町屋や問屋、旅籠の軒下に並び、ほのかな香りを放ち、街行く人に秋を告げている。
一花に一首、短歌が添えられているのもこの街らしくてよい。移ろう自然や時々の思い出が歌に託してある。街道に菊花の影が伸び、短冊が風に揺れる風景がいつまでも枚方宿の秋の風景であってほしいものだ。
枚方は最近まで菊人形で名のあるところだった。大菊人形展は、秋の風物詩であった。関西の秋を告げる代表的なイベントであって、坐摩神社(大阪市久太郎町)の夏祭りにでた陶器人形と対をなす盛大なものだった。菊の花を使って人物や花鳥など表し、主として歴史絵巻のジオラマを描いた見事な菊人形は、メカニックな装置を使った場面などで人気をはくし、関西各地で行われた菊人形の頂点をなすものだった。文化年間に江戸で始まった菊人形が、大阪に持ち込まれたのは明治43年といわれる。はじめ香里で行われていた人形展は大正元年に枚方に移され、以来、第二次世界大戦の戦中戦後の一時期を除いて、「ひらかた大菊人形展」は菊人形の頂点を極め続けてきたのである。しかし、次第に人形振付下絵師、人形師、大道具師、菊師などの後継者難や時代の波とともに衰退し、終に2年ほど前に幕を閉じた。ひらかた大菊人形展は廃絶になったが、それは形をかえて「枚方宿の菊フェスティバル街道菊花祭」として蘇ったと考えればよい。秋の頃、枚方宿辺りに出かければ見事な菊が観賞できる。−平成19年− |
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