大阪
下赤阪の棚田−千早赤坂村−
 大阪府の南部に千早赤阪村という金剛・葛城山麓の村がある。
 村は楠正成の生誕地。鎌倉幕府討幕の計画を企て、京都を出た後醍醐天皇の行宮・笠置にいち早く馳せ参じ、南朝方の忠臣として活躍した武将。
 赤坂城は正成が挙兵の城である。千早川の左岸にのびる金剛山塊の懸崖に城跡が残っている。500余の精兵で幕府方の大軍を迎え撃ち、よく耐えた夢の城址もただ1基の石碑を残すのみである。戦の様子は太平記で詳しく語られている。楠正成の尊称は大楠公。
 時を経て、赤坂城址の周りはよく棚田が発達している。懸崖の棚田である。尾根の背から谷底に至る。棚田からのぞむ金剛・葛城山の山容もまたよい。棚田の上空をアカネが舞いはじめた。もう秋がしのびよっている。