奈良
十津川−吉野郡十津川村−
 十津川は修験道の道場として名のある大峯山系に源を発する川である。熊野川の上流部の河川。和歌山県熊野川町宮井で大台ケ原山系から流れ出る北山川と合流。熊野川と名をかえて南下し、新宮市で熊野灘に注ぐ川である。流路延長は183キロメートある。深いX字峡をなす河川は電源開発の宝庫。北山川に池原ダム。十津川に猿谷、風屋、二津野の各ダムが築造された。吉野川上流部の大迫ダム等とともに、戦前戦後の近畿、中京の工業生産を支え続ける電源地帯の川である。
 十津川の河原に下りると、水量は多くはないが、赤松とのコントラストも美しく、水は澄んでいる。よどみの岩でヒラをうち群泳するアユがみえる。見上げれば、そそり立つ山塊の中腹をゆらり、ゆらりとバスが行き、山襞に消えていく。遠くから若い人々の歓声が聞こえる。オート・キャンプ場が整備されているようだ。十津川は近年、温泉地としてもきこえるようになった。−平成21年9月−