奈良
興福寺の五重塔−奈良市−
興福寺五重塔 奈良の三条通りを北に進むと、猿沢の池のほとりに出る。池を半周すると左手に興福寺の五重塔が聳え、少し離れた左手に南円堂の甍が目に入る。
 猿沢の池と五重塔の風景は、奈良の典型的な風景として、東大寺の甍や若草山とともによく知られた古典である。
 興福寺は、もともと藤原氏の氏寺である。五重塔は藤原不比等の娘光明子(聖武皇后)の願によって天平2(730)年に建立された。塔は兵火などによって幾度も焼失し、そのつど再建されてきた。現在の塔は、応永33(1426)年に再建されたもので、高さは約51メートル。創建当時より5メートルほど高い。室町塔のよい雰囲気がある。高い塔は、一興福寺にとどまらず、奈良という都会を意識して建てられたのだろう。東大寺の大仏殿然りである。
 近年、三条通りの再整備がなり、元林院など奈良町市街にも訪れる人が随分多くなった。40年程前には元林院界隈を歩く観光客などまばらだったが、江戸時代の町屋などが残っていて、なら町が再発見されるようになり、古都の趣にも厚みを増している。

興福寺五重塔 興福寺五重塔
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