京都
猫やなぎ−綾部市・由良川−
まだ寒し花穂の白さやねこ柳  <芳月>
猫やなぎ(川やなぎとも)−由良川・以久田橋下流
 3月中旬のころ丹波・由良川の以久田橋下流で猫やなぎがの花芽がようやくほころび始めた。雪をかぶった銀白色のやなぎの花穂がほころび、僅かに黄みを滲ませ遅い春の到来を告げている。
 かすかな光が射しやなぎの花穂が艶やかな絹の輝きを見せたかと思うと、空は途端にどんよりとした山陰特有の鉛色にかわり、雪が降りはじめる。なすすべもなくじっと時の移ろいを待つやなぎ。最も過酷なときを経て、梅の花が満開になるころ丹波のやなぎはいっせいに芽吹く。
 東大寺二月堂のお水取りが終わり、丹波に東風が吹きはじめてもまだ氷点下の日が続き、みぞれまじりの沫雪が降り続く丹波。しかし、河原に群れるツグミ、ホオアカ、キビタキの数は日毎に増え渡りのシーズンも近いことを感じさせる。忍び寄る春の気配はまた、確実に鳥たちの旅立ちを促すのである。−平成24年3月−