京都
由良川のチチブのこと−綾部市、福知山市等−
(撮影地:福知山市)
 3〜4月は釣り物の少ない季節。ハヤ釣りもいいが川に立ち込んでの釣りは少し躊躇する。こんな時はごり釣りはどうだろうか。
 ごりはこの魚の標準和名ではなさそうである。少し大きなものはてんぷらでいける。漁協で放流することもあるというから昔からこの魚の人気は低くはない。
 由良川のごりの正体はチチブ。褐色から暗褐色と体色はさまざま。3センチから大きなものは10センチにもなる。お腹に吸盤がありヨシノボリに似ているが、頭部に赤褐色の線がなくヨシノボリではない。ヨシノボリと同じハゼ科の魚で、ばぜ釣りの外道、ダボハゼといえばああそうかと察しがつくだろう。
 春、暖かい陽気に誘われて由良川河口から30数キロメートルの福知山郊外のワンドでごり釣りをすることがあった。餌はシマミミズ。小一時間で10数尾の釣果。退屈しない程度のよい釣りができた。−平成27年4月−

由良川のアユカケのこと
 アユカケ、ドンコ、カジカ。いずれも姿、形の良く似た魚で、由良川に生息する。アユカケは中流、カジカは支流の上林川のそのまた細流・草壁川などでよく見かける。
 アユカケはカサゴ目の魚でカジカ科。体長の三分の一ほどは頭。体色は環境にあわせて変化する。ドンコはハゼ科で吸盤があるが、アユカケにはない。アユカケはカジカ科では中型の魚。大物は30センチにもなるが、由良川では20センほどのものがよく獲れる。鰓蓋に大小の棘があり、4本の黄帯がある。この棘でアユを引っかけて獲物にするのだとかいわれるが眉唾。川原石の間に潜んでいて、夜間アユなどを捕食するようである。
由良川のアユカケ 8月某日。由良川中流(綾部市位田町)でアユカケを獲った。アユの巻き網にかかったもので、鰓を張った姿が勇ましい。川原石に似たアメ色の17センチ。水を切っても30分ほどは生きている。日本固有種。京都府では絶滅危惧種。煮つけに由良川のアラレガコすると美味であるが放流した。冬季に川を降って産卵し、河口部で過ごした後、遡上するようである。
 福井県では「アラレガコ」の地方名があって、腹を上にしてアラレに腹を打たれながらプカプカと川を下るのでこの名があるという。二十数年前、福井市に住まいしていたころ、松岡にアラレガコを出す店があったが今はどうだか。やっぱり九頭竜川は今もアユカケの宝庫であることを願いたい。 -平成27年8月-