大江山の春景色(タムシバ、マンサク、ヒューガミズキ、ダンコウバイ、キクザキイチリンソウ)−福知山市仏性寺− |
大江山タムシバ白し岩の上 〈芳月〉 |
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タムシバ |
もう4月になるというのに、大江山山頂近くの谷筋の残雪は消え遣らず、冷たい風がブナの木肌を撫ぜている。
連峰の鍋塚直下の深い谷筋は表土がめくれ、赤茶けた落土が大きな岩石を飲み込んでいる。
この山の長い冬は山麓の村々を苦しめ、多くの人々がこの谷を後にしていったことであろう。
大江山連峰の殺伐とした風景もやがて緑なす春を迎える。
山腹でタムシバが咲いている。陽に透け青みがかったマンサクがびりびりと風になびく。ダンコウバイやヒュウガミズキの黄色の花は清れつだ。オクチョウジサクラはなんとも可愛らしい。がけ地でしっかりと花をつけている。
ミツマタの花はこの谷を去った人々の生活を支えた忘れ形見であろう。薄暗い林床や川端で静かに佇んでいる。千丈ヶ原に通じる山道ではキクザキイチリンソウが二つ三つ、小さな白い花をつけている。間もなく山麓で農作業が始まる。−平成25年4月− |
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