京都
ササユリの咲くころ−綴喜郡井手町等−
 ササユリは、入梅のころから梅雨明けのころまでを花期とする。野山の下草から顔を出し、ほのかなピンク色して風に揺れるササユリは、清楚で美しいものだ。葉は笹の葉に似ている。日本人の好みにあった簡素なつくりがこの花の人気の秘密なのだろう。
 近年、ササユリを見かけなくなった。京都府北部の丹波高原や南部の井手、山城、加茂あたりの山道でごく普通にササユリを見かけたものであるが、林道周りの柴刈りが行われなくなると、近年では目にすることも少なくなった。ササユリを数えながら三上山に登るのも山城の山歩きの楽しみの一つであったが、めっきり少なくなった。眠りについた球根は柴が刈り取られ、陽が射すようになると芽を吹き再び地上に可憐な姿をみせる。それまで幾年も地下で過ごし、時期を待つササユリの生命力もまたすばらしい。−平成20年6月−