京都
リンドウの咲くころ−綾部市−
リンドウ<拡大
(撮影地:綾部市)
 丹波の秋は早い。11月の声をきくころ急に気温が下がはじめ、時雨模様の天気が続くようになる。
 野山は、はや冬枯れの様相。木の葉が色付きばじめている。
 ヨメナやヤマシロギクが1枚、2枚と舌状花を落とし、なんとなく野山が寂しくなるころ、リンドウが咲き始め奥丹波の野山を飾る。
 訪れた奥丹波の幽境では今年もまた、リンドウが咲いている。霧が晴れ陽が差し始めた午前10時ころ、くだんの山裾でリンドウが花冠を開き始めた。花弁の先端が少し青味がかった白色のリンドウも咲いている。鐘状の花冠が五つに裂け、裂片の間にちゃんと小さな突起状の副列片もついている。間違いなくリンドウである。
 リンドウやセンブリ(リンドウ科)は秋の野山の代表的な野草。しかし近年、リンドウも、センブリも確実に分布域は後退し、今日ではほとんど見かけなくなったところもある。
 ササユリ同様にリンドウもまた、人とつかず離れず咲く花。田畑周りや崖地の芝刈りが行われると、リンドウは芽を出し花をつける。−平成24年11月−
リンドウ
(撮影地:綾部市)
リンドウ(白色)
(撮影地:綾部市)
 奥丹波の冬の訪れは早い。雪が深くなるのは平年では2月ころ。しかし、イレギュラーに寒気が襲来すると、ときに12月初旬のころから野山は銀世界になる。そのころ、咲き遅れたリンドウは雪中で、懸命に堪え、淡い太陽のさすころを見計らって2センチにも満たない花冠を僅かに開く。なんともけなげで美しいものだ。−平成24年12月−
(撮影地:12/10綾部市) (撮影地:12/10綾部市)