京都
登尾峠の自然−綾部市内久井町奥山−

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 奥丹波に内久井(綾部市)という集落がある。志賀郷地区の最奥に当たる豪雪地帯。内久井から登尾峠を越えに丹後(舞鶴市)に通づる往還があり、府道(物部・舞鶴線)が途中まで整備されている。しかし、峠の先(下り)は未整備・未舗装の状態。奥丹波の人々の丹後との交流を示す生活道も今は昔。
 この登尾峠に桜を植える運動が地区の人々によって、約20年ほど前から行われている。例年、4月下旬ころ盛大な花見が現地で催され、桜ファンが押しかける。残念ながら、今年は豪雪にたたられて多くの桜が折れ、当日は強風が吹く荒天。急遽、花見会場は地区公民館に変更され、予定通り開催された。
 後日、登尾峠を歩く機会があり、イチリンソウを見学した。奥丹波や丹後半島の山間はイチリンソウの開花地。京都府下では山城のニリンソウと対をなす自生地である。
 内久井集落では、代掻きの終わった水田周りでイチリンソウが頼りなく風に揺れている。イノシシ除けの柵に沿って点々と咲いている。ネコノメソウ、タンポポ(写真下)があぜ道いっぱいに咲き、タンポポのほとんどすべてがシロバナタンポポ。
 渓谷を右手に見て、行くほどにヤマブキ、ミツバツツジ(写真下)が目立ちばじめる。林床にタチツボスミレが群落をつくる。イカリソウ(写真下)、ヤマルリソウ、ミヤマキケンマ等々、奥丹波の春を謳歌して美しい。
 峠道を行くほどに、峡谷沿いの道端に或いは小谷の吐き出し口でイチリンソウが咲いている(写真上下)。相当まとまった群落もある。忙しい農繁期に、ひっそりと咲くイチリンソウ。遠慮がちに見学させていただいた。−平成24年4月−
イチリンソウ
タチツボスミレ イカリソウ
ヤマブキ
ミツバツツジ シロバナタンポポ