京の街角(南天)−京都市東山区本町15丁目− |
南天や不動も共のうち 〈芳月〉 |
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同聚院の南天(ナンテン) |
京の街に晩秋の冷たい風が吹きはじめた。
東福寺塔頭の同聚院の境内の陽だまりで南天が真っ赤な実をつけている。 同寺は藤原忠平が建立した法性寺に、寛弘3(1006)年、藤原道長が40歳の賀に造営した五大明王を安置した五大堂の遺跡といわれる。五大明王のうち不動明王座像が現存する。同不動明王は別称十万不動の名があり、火除け・除災の霊験があると信じられている。十万を一文字(じゅうまん)に造り護符とする。造像は定朝の父康尚の作。東福寺境内の紅葉見物の人並みをよそに、同聚院のささやかなお堂周りは不動に祈りをささげる老若男女が頭を垂れ香煙が絶えることはない。
南天は自然発芽したものか山門脇のわずかな陽だまりでやや紅葉した葉の上で、円錐形の花序を垂れ赤い実をつけている。南天の自生は中部以南の暖帯。木質の茎は冠雪に強く、枝をたわめて懸命に耐える姿は忘れがたい。葉に防腐効果がある。転じて鬼門、裏鬼門に植え、災いを除く。運動会や花見の弁当には必ず南天の葉が添えられていたものだ。まさに植物の不動だ。寒中の南天には清々しさもある。−平成23年11月− |
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