京都
里山の春(アズマイチゲ)-南丹市日吉中世木-

アマイチゲ 桂川の源流地帯・世木ダムの北に「中世木」という集落がある。桂川の深い峡谷に開けた当地は段丘の傾斜地を拓き、コメ、野菜を栽培する純農村地帯。集落を包む周囲の山々は標高500メートルほど。さほど高くもない里山という印象で息苦しさがなく、明るい光に包まれた集落はのどかな丹波の農村といったところである。
 実はこの集落、山野草の宝庫として知る人ぞ知るところである。アネモネ属(キンポウゲ科)のセツブンソウ、アズマイチゲ、ニリンソウ、イチリンソウの4つの花がそろっていて稀有である。丹波のアネモネ属は3月初旬にセツブンソウがまず最初に開花し、アズマイチゲ(3月下旬)、イチリンソウ・ニリンソウ(4月下旬)の順に咲く。訪れた日(3月30日)、アズマイチゲが満開、私邸の裏山に入れていただいた。先端に3個の包葉をつけ、包葉の間から伸びた花茎に白色の1花をつける。
 土地の人の話によると中世木はヤマシャクヤク(5月初旬)の自生地もあるという。花色は白であるがベニシャクヤクの種であるという。中世木のアズマイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、ヤマシャクヤクの自生地は今のところいずれも非公開とのことである。−平成27年3月30日−