京都
鷲峰山しゅうぶやまのアオマムシグサ−綴喜郡宇治田原町、相楽郡和束町−
 イチリンソウやイカリソウの花期が過ぎ、野山にウノハナやタニウツギが咲き始めるころ、山間の暗幽とした樹下で咲くアオマムシグサ。ほの暗くジメジメとした山中で、この花が群生するところにはいると、多少不気味な感じがするものだ。
 京都府南部地方に鷲峰山(シュウブヤマ)がある。修験道の「北大峰」と通称される「金胎寺」(こんたいじ)が頂上付近にあって、そこは行基、鑑真、伝教、弘法も登山し、精錬修験の証とした1300年の歴史を秘めた仏遺である。三方から入山の道がある。宇治田原から信アオマムシグサ楽に向かう途中の参道から登山。行くほどに、山道脇にアオマムシグサの姿がみえ始め、桧の人工林につつまれた山腹辺りにはそれが叢をなしている。穂軸は鎌首、茎は蛇の鱗模様が浮き出ていて、歩むほどに少し腰が引けるのもこの花の姿ゆえである。サトイモカ科のテンナンショウの仲間であって、ウラシマソウと同属である。クロテスクな花であるが、愛好家も多いようである。−平成21年5月−