京都
近畿最北端の灯台(経ヶ岬灯台)−京丹後市丹後町袖志−
 丹後半島の突端に経ヶ岬灯台がある。明治政府の海運助成政策の一環として、明治31年(1898年)12月に設置。灯台は第一等フレネル式レンズを使用する日本で3番目に古い灯台。柱状節理をなす角閃石安山岩の岩山に立地し、標高140メートル(灯火まで約148メートル)の断崖上にある。灯光は28万カンデラ、22海里(約40.7キロメートル)まで届く。併せてレーマークビーコンや船舶気象通報観測所が設置され、レーダー搭載船に気象信号を送る。日本海岸の中央部で海難防止などの防人機能を100年以上果たし続ける島国日本の最重要施設の一つである。
 この灯台について、建設にまつわる稀有な話が二つある。一つは灯台の重いレンズを円滑に回転させる動力としてパリ万国博覧会(1893年)に出品された水銀槽式回転機械を購入し、使用していることだ。発明したのはフランス人技師プール・デーユ氏。もう一つは灯台の建築部材として眼下の石材を切り出し、2年余の歳月をかけ完工した施設であるという点。経ヶ岬の展望駐車場から灯台の立つ岩山を眺めると角閃石安山岩の岩肌が見える。海岸線は、「山陰海岸ジオパーク」に指定された貴重な地質遺産。
 灯台は展望駐車場から約400メートルの距離にある。遊歩道が整備されている。道は大変険しいが一見の価値がある。環海のむこうは大陸だ。
 灯台は完全自動化され、常駐職員は配置されていないが「新・喜びも悲しみも幾歳月」に登場する。
 11月初旬、半島の海岸周りでリュウノウギク(野菊の一種でノジギクに似る)がひっそりと咲いている。葉の形がノジギクと見分けづらい班もあり野菊ファン必見の岬だ。ひょっとしてこの岬辺りがノジギクの北限(東限)かもしれない。
 晩秋の日本海岸の旅もまたよい味わいがある。−平成25年11月− 
リュウノウギク(経ヶ岬)
参考 奄美大島(曽津高崎)